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01.01.09

少年たちはみな

赤い長靴で

降り積もる青い水玉を

ざっくざっくと踏みしめながら

森へと向かった

00.12.31

森の炎、今静まり

たくさんの青い水玉、空へ昇る

その音

月の海の潮騒のごとし

01.01.17

先生は

鉱石ラジオに耳をあてる

さあ出ておいで歌い手よ

おまえが子供たちを守るのだ

01.01.24

おじいさんが10人

教室でストーブを囲んでいる

かあさん

わしらはたった今

赤い長靴で旅立った

01.01.31

ラジオから歌が聞こえる

夢から生まれて夢に帰る

その間のほんの短い目覚めの時

奇跡のようにあなたに出会った

わたしの愛しいひと

01.02.05

森のバス停から闇へ

ちいさな狐が跳んだ

光は、木の実にかたちを変え

春を迎える時を待っていた

01.02.07

少年B

森はきれいに焼けちゃった

ちいさな狐と

ぱらぱら木の実になっちゃった

01.02.13

大丈夫

わたしは死んでいない

わたしは炎の中で

ますます深く生い茂り

鉛筆ロケットのからだを隠した

01.02.16

だったら

鉛筆ロケットに

会いに行こうよ!

01.02.23

だがその前に

一匹の狼が

少年たちに会いに来た

四つの目の狼

01.02.28

四つの目の狼は

静かなひとりの旅人だった

グレイの古いマントと、大きな帽子

焼け残った切り株の上で

少年たちを待っていた

01.03.06

その頃三日月は

大きな山に突き刺さり

沈むことも、昇ることもできず

からだを震わせていた

01.03.23

やあ

時のらせんのほころびから

静かに流れ出ている血のことを

君たちは知っているかい?

狼が言った

01.04.01

大きな足と手を

にょきっとはやした灯台が

光りをぐるぐるさせながら

森の向こうを歩いてる

01.04.05

その光りのぐるぐるが

時のらせん

けれども血は

ふれなければわからない

01.04.09

やがて灯台は

山に突き刺さった三日月を見つけ

その暗い所に光りをあてた

月は満月となり山をはなれた

しかしその時

01.04.17

灯台は

月のおもてに書かれた

不思議な文字を見つけた

月は傷つき

その文字は血でにじんでいた

01.04.21

さあ、そんなわけで少年たちよ

君たちはこれから

月の表を流れるあたたかな血に

ふれに行かなくてはならない

01.04.25

遥か異国の都会

その雑踏の響き

それが今、無数のちいさな立方体となり

東の地平線をこえて来る

01.05.14

その立方体に書かれた

1から6までの音符の組み合わせ

そして月のおもての文字

いよいよ歌が生まれるのだ

01.05.23

おじいさんが10人

ストーブを囲んで眠っている

さっきまで校庭で空を見上げていた先生は

今は1本の草となり

その長い旅を終えた

01.06.08

ざっくざっくと星を踏め

とっことっこと歩き出せ

鉛筆ロケットつかまえて

お空に大きな字を書こう

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